Fly me to the Paris <4>Fly me to the Paris <4>2007/03/16 「お帰りなさい。お疲れ」 部屋に入ってきた彼を揺はにっこり笑って出迎えた。 「足・・痛むの?」 片足をちょっと引きずるように歩く彼を見て揺はとっさに彼の脇の中に身体を滑りいれた。 「大丈夫だよ。ちょっと歩きすぎただけだから」 彼は気軽にそういうとベッドに腰を下ろした。 「あ~疲れた」 大の字になって寝そべる。 揺は彼の横に座り、彼の靴下を脱がし、怪我をした足の様子を見ている。 「腫れてはいないかな・・・ちょっと冷やそうか。思ったより帰り早かったね。で、今日はどうだった?」 揺は脱がした靴下を丸めながら微笑んで話しかけた。 「今日はね・・・女を抱いた」 彼は自慢げに答えた。 「?」 怪訝そうな揺。 揺の頭には前作のタイでの女性とのカットが浮かぶ。 「イヴって言うんだ。彼女。 抱きしめたらさ、すっごい気持ちよくてさ。 あったかくて。 頬ずりしたら俺のこと舐め返してきて・・・」 「ふ~~~ん。 彼女 パリジェンヌ? 美人だった? 髪はブロンド?」 揺の言葉は平静を装っていたが手に持った靴下は引き伸ばされてベッドにたたきつけられていた。 「ああ。パリジェンヌ。すっごいチャーミングだった。 髪は・・・あれはブロンドって言わないよな・・。」 ビョンホンは答えながら横目で揺の表情を伺っている。 「へぇ~~~。食事にでも誘えばよかったのに」 そうつぶやく揺の口は尖っている。 「え?良かったの?何だ。だったら連れてくれば良かった。 きっと揺も仲良くなれるよ。 あいつ何食べるかな・・」 「一日で『あいつ』なわけ?ふ~~ん。あっそう。 いいんじゃない。フォアグラでもトリュフでもいっぱいご馳走してあげれば」 すでに揺の顔は引きつっていた。 「あいつはそんなもの食べないよ。」 「あ、そう・・食べ物の好みの話までしたんだ・・で、彼女ベジタリアンなわけ?」 「クックックックッ」 揺のどんどんイライラしてくる様子を見てビョンホンはこらえきれずに噴出した。 「何よ。何がおかしいの」 「彼女はね。ドッグフードしか食べないの」 彼はそういうとゲラゲラと笑った。 「もう・・・信じられないっ!ビョンホンssiのバカ」 揺はそういうと手に持っていた靴下を彼に向かって投げつけた。 「ゴメンゴメン。あんまり揺が冷たいからさ。 からかってみたくなっただけだよ」 ビョンホンはそういうと座っていた揺をベッドに押し倒した。 「全く・・・可愛くて嫌になっちゃうよ」 揺の目を見つめて微笑む彼。 「もう・・本当に怒ってるんだから」 口ではそう言いながら揺の目は微笑んでいた。 彼はそっと優しくそんな彼女の髪を撫でゆっくりとキスをした。 |